日本列島の甲虫全種目録

(2024年版)

2022年12月28日に日本昆虫目録第6巻鞘翅目の第1部が発行されました (販売されたのは翌2023年になってから)。この第1部には始原亜目、食肉亜目のうちオサムシ科を除いた水生甲虫類、粘食亜目、多食亜目のマルハナノミ上科、タマキノコムシモドキ上科、ヒメトゲムシ上科、ガムシ上科、エンマムシ上科、マルトゲムシ上科、ドロムシ上科の併せて30科750種あまりについての分類学的、および生物地理学的情報が掲載されています。今後、残りの分類群は第2部から第7部に分割して目録化されるということです。早期の出版に期待したいと思います。

この第1部のガムシ上科にはホソガムシ科、マルドロムシ科、セスジガムシ科、オニガムシ科、ガムシ科が含まれています。全種目録の分類については日本昆虫目録に準拠し、2023年版までガムシ科の亜科としていたホソガムシ類、マルドロムシ類、セスジガムシ類を2024年版では科として扱うことにいたしました。

・日本昆虫目録編集委員会（編）, 2022. 日本昆虫目録第6巻鞘翅目第1部. 131pp. 櫂歌書房, 福岡市.

（2023年版）

Cai, C. et.al., 2022において現生甲虫科193科のうち129科を対象にした塩基配列データによる系統解析に化石記録と形態の情報を加えた甲虫目の新しい分類体系が提案されています。2023年版日本列島の甲虫全種目録では、Cai C. et al., 2022において提案された甲虫目における科以上の上位分類群の分類体系を採用しました。またCai C. et al., 2022において取り扱っていない科についてはBouchard et al., 2011に従うことにしました。

2022年版と2023年版との科レベルの変更点は以下の通りです。

亜科から科へ変更した分類群

・タマキノコムシ科ヒゲブトチビシデムシ亜科から　ヒゲブトヒチシデムシ科 / Family COLONIDAE Horn, 1880

・ハナノミダマシ科ヘリハネムシ亜科から　ヘリハネムシ科 / Family ISCHALIIDAE Blair, 1920

科から亜科以下に変更した分類群

・セスジムシ科 / Family RHYSODIDAE Laporte, 1840はヒョウタンゴミムシ亜科へ

・ハンミョウ科 / Family CICINDELIDAE Latreille, 1802はオサムシ科の亜科へ

・シデムシ科 / Family SILPHIDAE Latreille, 1806はハネカクシ科の亜科へ

・タマキスイ科 / Family CYBOCEPHALIDAE Jacquelin du Val, 1858はケシキスイ科の亜科へ

したがって、2022年版に132あった科の数は130に減少しました。

・Cai, C., E. Tihelka, M. Giacomelli, J. F. Lawrence, A. Ślipiński, R. Kundrata, S. Yamamoto, M. K. Thayer, A. F. Newton, R. A. B. Leschen, M. L. Gimmel, L. Lü, M. S. Engel, P. Bouchard, D. Huang, D. Pisani  & P. C. J. Donoghue, 2022. Integrated phylogenenomics and fossil data illuminate the evolution of beetles. Royal Society Open Science, 9: 211771.

・Bouchard, P., Bousquet, Y, Davies, A.E., Alonso-Zarazaga, M.A., Lawrence, J.F., Lyal, C.H.C., Newton, A.F., Reid, C.A.M., Schmitt,M., Ślipiński, S.A., Smith, A.B.T. (2011) Family-group names in Coleoptera. Zookeys, 88, 1–972

(2022年版）

現在、鞘翅目（甲虫目）は、四つの亜目に分類され、世界から約39万種が記録されています。この数は研究成果の進展とともに、毎年増え続けています。

日本産の甲虫に関しては、「日本産野生生物目録、昆虫類」（環境庁、1995）（日本産昆虫総目録、九州大学農学部昆虫学教室・日本野生生物研究センター共編、1989に準拠する）には、1989年段階で、9,869種（亜種を含む）の既知種が掲載されています。また、日本分類学会連合の日本生物種数調査によると、2002年の年末時点で、既知種数は10,233種になっています。

2020年末までの論文等をまとめた結果、日本列島から報告されている甲虫類（鞘翅目Coleoptera）は、132科、14,000種余り（亜種含む）になることがわかりました。(2022年版）